【開催報告】日蓮宗埼玉青年会主催 ★青年僧のためのグリーフケア連続講座 第3講レポート

はじめまして。埼玉県日蓮宗青年会会員の濱島寿文と申します。今回は私が講座のレポートを担当させていただきます。

少し自己紹介をさせていただきますと、普段は埼玉県比企郡ときがわ町にある佛日山東光寺にて副住職を勤めております。副住職と聞くと偉そうに感じるかもしれませんが、同じ人間ですので安心してください。田舎の山寺で育った為、マイペースなところもありますが、ご容赦くださいませ。それでは、よろしくお願い致します。

令和5年9月14日、第3回『「自分自身を知る」と「セルフケア」』が川口市妙仙寺の仙太郎会館にて開催されました。当日の司会進行は、てるみん(尾角光美さん)が旅に出てしまった(英国の大学院に戻る)ので、ごっちゃん(五藤広海さん)が一人で執り行ってくれました。ごっちゃん曰く「てるみんがいないからやりたい放題だぜ(嘘)」と言っていたとか、言っていなかったとか。お彼岸が近く各寺院準備等忙しい中ではありましたが、たくさんの参加者にも恵まれ、前回に引き続き活気ある講座を実施することができました。

講座を始めるにあたり、まず実施するのが「チェックイン」です。今回のチェックインは「今の自分の心と身体の状態をお天気・空模様にたとえてみる」でした。まず、ごっちゃんから心身の状態を天気模様に例え、その後、会員一人一人が順番に心身の状態を例えていきました。私は、当日晴れていたことと、講座にも大分慣れてきたので、「お彼岸前で疲れてはいますけど、今日の天気みたいな晴れです」と答えました。皆さんお彼岸前でお疲れではありましたが、晴れに近い方が多く安心致しました。中には、「雨だけど心地よい雨」と表現している方もいました。普段、雨と聞くと悪いイメージを連想しがちですが、雨の中にも色々な雨があるよなと感心してしまいました。あなたの心身の状態は今どんな空模様ですか。晴れですか?雨ですか?心身が良い時はキープを、悪い時は過ぎ去るのを待ちましょう。「No Rain, No Rainbow」雨が降らなければ虹は出ない、雨という試練を乗り越えた先に美しい虹が広がるというハワイのことわざです。

 

さて、その後は、大人のホームワーク「手紙のグリーフワーク」の発表会です。ホームワークをやってこなかった私は、他の会員同士の手紙の朗読を聞きました。お二人とも亡くなった祖父・祖母への感謝の手紙を書いていました。今思えば、私も感謝の手紙であれば書けたかもしれません。「失ったものに手紙を書く」と強く思い込んでいた私は「自分の好奇心」にどう手紙を書けばよいのか考えあぐね。講座中の「パスOK」のルールを悪用し、宿題を忘れるという悪手をとったのです。私個人の感覚ですが、人生においてもしんどい時は「パスOK」だと思っています。もちろん、絶対にパスできない時もあります。それは、どうにかこうにか乗り越えてください。でも、これを続けるとちょっと心身のバランス崩れそうだなと思ったときは、立ち止まってください。「パスOK」です。

そして、第3講に学ぶ項目についての説明があり、自分自身を知る「ロスライン」のワークに入りました。このワークでは生まれてからこれまでの人生を線(直線、曲線、螺線、折れ線)で描き、人生の中で特に印象的だったこと、その時に感じたことをイラストやイメージで描きました。その後、自分が書いたものをグループ内で共有し、書いてみて感じた気づきや学びを共有しました。このワークをやってみての感想は描く人それぞれで、描く線が直線、グラフなど個性が濃く現れるということです。もしご自身で行うのであれば、誰かと一緒にやった方がおすすめです。色んな気づきがあると思いますよ。個人的にも、良かったことや、悪かったことを思い出す中で自分の現状や過去を改めて振り返ることが出来たのは良かったと思いました。

 

次に、セルフケアの基礎に入りました。「セルフケア」とは自分自身をたいせつにすることです。言葉で聞くと

当たり前のように感じますが、具体的には何をすることを言うのでしょうか。まだまだ、イメージが湧きません。そこで、セルフケアの重要性について考えるワークが始まりました。このワークは、他者や自分自身のグリーフ(喪失への反応、感情、プロセス)にふれ、セルフケアの大切さや、セルフケアがどのような意味を持っているかについて考えるものです。私は、「癒し」「回復と安定」「やる気アップ、前を向ける」などと考えました。ご

っちゃんは、まとめで「自らに与えているケアの質が他者との間に生まれるケアにつながっていく」と言っていました。自分に優しくできる人は、他人にも優しくできる。自分が安定している人は、相手も安定させられる。相手が安定していることによって自分も安定できる。セルフケアは、自分自身を大切にすると同時に相手のことも大切にしていることを学びました。

 

そして、引き続きセルフケアについて理解を深めるワーク「セルフケアの傾向を知る」と講義が始まりました。このワークでは、自分にとってのセルフケア(苦しい時にやっていること)3つを付箋に書く。書き出したものを自分の感覚に従って身体的、内面的、個人的、社会的のどこに当てはまるかを張り出す。気づきや学びを共有するという流れでした。私自身は、「寝る」、「音楽を聴く」「友達と飲む」と書きました。似たような人もいたり、私には真似できないようなやり方でセルフケアしている方もいたりと、新たな発見がありました。割と個人的なものが多かったように感じましたが、1人で抱え込めない時は、外に出すという流れが多いように感じました。

 

引き続きの講義では、「気づきの力(アウェアネス)」について学びました。具体的には、弱っている自分に「弱っているな」と気づくもう一人の自分がいること。怒っている他人に対して、苦手だなと思う自分を「怒りを表す他者に対して苦手と感じている自分」を見る自分がいることです。そして、大事なことは、そこでは良い、悪い、こうあるべきだとジャッジしてはいけないこと。「しんどい」と感じている自分を「なんて自分は弱いんだ」と判断せず、「今、しんどいと思っているんだなと」と感情のままに受け入れてあげることが大切だと学びました。

確かに、私の今までの人生を振り返ってみると、自分で良い悪いと勝手に判断して、勝手に傷ついて、勝手に落ち込むという負のスパイラルに陥ることがあったような気がします。これからは、「ありのままの自分をそのまま認めてあげられる自分」「判断は置いといて、感じたままを受け入れる自分」でありたいなと思いました。

楽しい講義の時間はあっという間に終わり、「チェックアウト」を迎えることとなりました。最初に行った「チェックイン」と同様の形式で再度、今の自分の心と身体の状態を天気・空模様に例え、寝るまでの間にしたいセルフケアを発表しあいました。私は「講義でちょっと疲れましたが、穏やかな、気持ちの良い晴れです。音楽が好きなので大好きな音楽を聴いて帰りたいと思います。」と答えました。他の参加者も良い方向に向かっている方が多く、毎回充実した講義を作ってくれる講師の方々、サポートの方々、会員の方々には感謝しても感謝しきれないなと思いました。

さてさて、次回の第四講は『「聴く」と「対話」』です。また、みんなで充実した講義にできたらなと思います。今後ともよろしくお願いいたします。